第 4 回のテーマは「 割り算の概念 」です。
割り算は「 四則計算( 足し算, 引き算, 掛け算, 割り算の 4 つの計算。加減乗除 )の総仕上げ 」と言われています。
その割り算の「 本質や仕組み 」について、徹底的に理解しておきたいと思います。
目次
割り算の基本
割り算は「 除法 」とも言い、割り算の結果を「 商 」と呼びます。
「 除 」には「 取り除く 」という意味があり、「 割り算 」とは「 いくつ取り除けるか 」という事です。
「 商 」は、むかし商人たちが「 自分たちの分け前や取り分を、はかる時 」に使っていたという説もあります。
割り算の基本は「 分配 」です。「 いくつかの物を、何人かで分ける 」これが基本となります。
「 等分除 」という考え方
例えば、7 枚あるカードを 3 人に配るとき、まずは 1 枚ずつ 3 人に配ってみます。すると元の 7 枚のカードから 3 枚減って、残りが 4 枚になります。
数式で表すと「 7 − 3 = 4 」です。まだ 4 枚余っているので、もう一回配ることができます。すると「 4 − 3 = 1 」となり 1 枚しか余っていないので、もう配れません。
この例は「 7 − 3 = 4 , 4 − 3 = 1 」と、全体の 7 枚から配布 1 回分である 3 枚を次々と引いている。つまり「 引き算の繰り返し 」をしています。
結果、 1 人あたり「 2 枚ずつ 」となりました。式で表すと「 7 ÷ 3 = 2 … 1 」( 7 枚を 3 人で分けると、1 人 2 枚ずつで余りが 1 )となります。
これは「 2 枚ずつ 3 人に配り、余りが 1 枚 」とも言えるので、 7 = 2 × 3 + 1 と掛け算で表す事もできます。
このように「 全体をいくつか( 何人か , 何グループか )で等しく分ける事 」を「 等分除 」と言います。
これは、等分した時の「 1 つあたり( 1 人あたり , 1 グループあたり )の量 」のことを指しています。これを「 単位量あたりの大きさ 」と言います。
今回の例なら、1 人あたり「 2 枚ずつ 」なので、「 単位量あたりの大きさ 」は「 2 」となります。
等分除は「 割合 」につながる考え方です。
「 包含除 」という考え方
上の等分除の例( 式 )は「 7 の中に 3 が、いくつ含まれているか 」と言い換えることができます。
この場合だと、「 3 は、2 つ含まれていて、余りが 1 」となる。
式で表すと「 7 ÷ 3 = 2 … 1 」となり、掛け算で表すと「 7 = 3 × 2 + 1 」となります。
このように「 全体の中に、あるかたまり( ある数 )が、いくつ含まれるのか 」これを「 包含除 」と言います。
割り算において包含除は、割られる数に「 割る数がいくつ含まれているのか 」という事です。
包含除は「 倍数や関数 」につながる考え方です。
まとめ
上記の例のように、等分除と包含除は、計算が同じでも「 考え方( 着眼点 )が違う 」のです。
割り算とは、割られる数である「 全体量 」と、割る数である「 単位量あたりの大きさ 」と「 いくつ分 」の 3 つの関係で成り立っています。
割り算の意味と仕組み
割り算には 3 つの意味があります。
- 分ける( 等分除 )、一番適用範囲の広い「 あらゆる意味で分ける 」
- いくつ含まれるか( 包含除 )、大きい数を小さい数で割る
- 比べる( 割合や比を表す )
これらは、場面や状況で意味が決まります。
割り算と掛け算
割り算の答えを求めるには「 九九の知識 」が必要です。割り算は「 掛け算 」をしているのです。
掛け算が元の数とかける数から「 結果 」を求めるのに対し、割り算は元の数と結果から「 かける数 」を求めるものです。
やっていることは掛け算です。ただ「 着眼点が違う 」だけです。
なので「 割られる数 ÷ 割る数 = 商 … 余り 」→「 割られる数 = 割る数 × 商 + 余り 」と変形できるのです。
例えば「 17 ÷ 3 」なら「 17 = 3 × □ + ○ 」なので、九九の 3 の段の知識( 掛け算 )が必要になります。
計算の仕組み
割り算のルールは「 ケタの大きい方から割る 」です。ここが足し算、引き算、掛け算との違いです。( これらはケタの小さい方から計算します )
例えば、1218 ÷ 21 なら「 1218 を千円札 1 枚、百円玉 2 枚、十円玉 1 枚、一円玉 8 枚 」として、これを 21 人で割る( 分ける )と考えます。
すると、千円札は 1 枚しかないので 21 人に分けられません。よって、百円玉に両替します。結果、百円玉が合計 12 枚になりました。
百円玉も 12 枚では 21 人に分けられないので、十円玉に両替します。すると、十円玉が合計 121 枚になり、これなら 21 人に分けられます。
十円玉 121 枚を 21 人で分けるので、これを式で表すと、「 121 ÷ 21 = 5 … 16 」つまり十円玉を 21 人に「 5 枚ずつ 」配ったら、16 枚余った。
掛け算で見ると、5 × 21 = 105 これは十円玉を 105 枚配った。つまり「 1050 円配った 」ということです。
元の金額から 1050 円分配ったので、 1218 − 1050 = 168 となり、残金は 168 円となります。
この 168 円の内訳は、余った十円玉 16 枚と一円玉 8 枚です。ここからまた同様に、十円玉が 16 枚しかないので、一円玉に両替します。
すると、一円玉が 168 枚となったので 21 人に分けられます。 168 ÷ 21 = 8 となり、一円玉は「 8 枚ずつ 」配れました。
割り切れたので、これで元のお金が全て 21 人に等分されました。結果、1 人あたり「 十円玉 5 枚と一円玉 8 枚 」の合計 58 円もらえました。
割り算の結果
割り算の計算結果は、「 割る数 」の数だけ分類されます。
例えば、3 で割る( 割る数が 3 )なら、計算結果は「 割り切れる 」「 1 余る 」「 2 余る 」の 3 つに分類されます。
四則計算の関係性
「 足し算と引き算 」 , 「 掛け算と割り算 」これらはそれぞれ「 逆の関係 」になっています。
例えば、7 + 3 − 3 = 7 ← 足した数を引いたら元の数。 7 × 3 ÷ 3 = 7 ← 掛けた数で割ったら元の数。
というような関係です。数学では、ある計算とその逆の計算を「 1 つの組 」として考えます。
ちなみに「 微分( 不思議な割り算 )」と「 積分( 凝った掛け算 )」も逆の関係と言えます。
「 0 」で割ることはできない
例えば、 4 ÷ 0 =「 結果 」とすると、 0 ×「 結果 」= 4 となってしまいます。
でもこれは「 ありえない事 」です。なので、0 で割ること( 割る数が 0 )は「 不能 」であると言います。
また、 0 ÷ 0 =「 結果 」だと、 0 ×「 結果 」= 0 となり、これだと「 結果 」はどんな数でもいい事になってしまいます。
つまり「 特定できない 」のです。なので、0 ÷ 0 は「 不定 」であると言います。分数の \(\displaystyle\frac{0}{0}\) も不定と言えます。
ちなみに 0 を割る( 割られる数が 0 )場合は、答えは「 0 」です。例えば、0 ÷ 4 = 結果 は、4 × 結果 = 0 なので、結果は「 0 」だけです。
小数の場合
小数の割り算( 割る数が小数 )の場合には、割る数を「 整数 」にして計算します。
例えば、 3.25 ÷ 2.5 なら「 3.25 ÷ 25 × 10 」と変形して計算します。
これは、2.5 で割るところを 10倍の 25 で割った( 10倍多く割った )ので、最後に 10 倍して調整しています。
この 2.5 を 25 にする( 10倍する )とは、2.5 を「 25 として見ている 」という意味です。
つまり「 1 の視点から 0.1 の視点に変えた 」ということです。
2.5 とは 1 から見れば 2.5 倍( 2.5 個分 )であり、0.1 から見れば 25 倍( 25 個分 )であるからです。
よって、この計算結果は「 0.1 あたりの数 」になってしまうので、最後に「 10倍 」して「 1 あたりの数 」に直します。
つまり、3.25 ÷ 2.5 だと「 1 あたりの量 」を指し、これを 3.25 ÷ 25 に変えると「 0.1 あたりの量 」になるわけです。
そして最後に、1 あたりの量に戻すため、 10倍しているという流れです。( 0.1 の 10倍が 1 なので )
3.25 ÷ 25 × 10 = 0.13 × 10 = 1.3 となります。割る数の小数のケタが 2 ケタ以上の場合でも同様です。
例えば、割る数が 2.53 ( ÷ 2.53 )なら、100倍して 253 にして計算します。これは 0.01 の視点です。 0.01 から見ると 2.53 は 253 倍( 253 個分 )となっています。
小数の掛け算
例えば、1 × 0.1 = 0.1 とは「 1 が 0.1 個あるときは 0.1 」という意味です。
1 は 0.1 を 10個集めたもの( 0.1 が 10個で 1 )なので、0.1 個とは「 1 を 10個に分けたときの 1 個 」とも言えます。
なので「 1 ÷ 10 = 0.1 」と変形しても「 意味は同じ 」ということです。よって\(\displaystyle\frac{1}{10}\) = 0.1 とも言える事になります。
まとめると、1 × 0.1 = 1 ÷ 10 = 1 ×\(\displaystyle\frac{1}{10}\) となり、全て「 1 を 10個に分けたときの 1 個( 10個で 1 になる) 」という意味です。
同様に、0.1 × 0.1 = 0.1 ÷ 10 = \(\displaystyle\frac{1}{10}\)×\(\displaystyle\frac{1}{10}\) なら、「 0.1 を 10個に分けたときの 1 個( 10個で 0.1 になる) 」なので「 0.01 , \(\displaystyle\frac{1}{100}\) 」となります。
また、1 × 10 = 1 ÷ 0.1 = 1 ÷\(\displaystyle\frac{1}{10}\) という関係でもあります。
具体的な計算の仕方は「 整数に直して計算し、最後に小数点の計算 」をします。
例えば、2.5 × 1.5 なら「 25 × 0.1 × 15 × 0.1 」と整数を作って計算します。
25 × 15 × 0.1 × 0.1 = 375 × 0.01 = 3.75 という感じです。
0.3 × 5 なら「 3 × 0.1 × 5 」と直して、3 × 5 × 0.1 = 15 × 0.1 = 1.5 となります。
あとがき
少し長く、内容もだいぶ詰め込んでしまいましたが、割り算の仕組みや本質をつかむには、是非理解しておきたい大切な知識です。
割り算は「 四則計算の総仕上げ 」と呼ばれるので、「 割り算を制するものは、四則計算を制す 」と言えるかもしれません。
少しでも四則計算に、自信を持って頂けたら幸いです。
最後までお読み頂きまして、誠にありがとうございました。