第 9 回のテーマは「 小腸 , 肝臓 , 大腸&食事と腸内細菌 」です。
前回( 血液と腎臓&消化吸収の流れ )の続きとなる「 人体の話 」です。
今回は「 小腸のつくりと働き , 肝臓の働き , 食べ物の吸収の流れ , 大腸の働き , 食べ物の栄養素 , 免疫と腸内細菌 」といった事を書いていきたいと思います。
目次
小腸のつくりと働き
小腸は胃と大腸をつなぐ細長い消化管であり、食べ物の消化と吸収を行います。
小腸の内壁には多くのヒダ(折り目 , しわ)があり、このヒダには「 絨毛( じゅうもう ) 」という小さな突起がいくつも付いています。( 栄養分はこの絨毛から吸収される )
これら( ヒダ , 絨毛 )によって小腸はとても広い表面積を持ち、より効率良く消化吸収が行われます。
小腸のヒダや絨毛を含めた面積( 広さ )は約 200 ㎡( 平方メートル )にもなり、テニスコート(シングルスコート)とほぼ同じ広さと言われています。
小腸には「 十二指腸( 指 12 本分の長さが名前の由来 ) , 空腸 , 回腸 」の 3 つの部位があります。
小腸の上部の十二指腸は「 胃で消化された食べ物に、膵液(すいえき)と胆汁を混ぜてさらに消化させ、空腸に送る 」働きをしています。
小腸の中部の空腸は「 腸液( 消化液 )による最終的な消化と栄養分の吸収 」が行われています。
小腸の下部の回腸は「 空腸で吸収されなかった栄養分を吸収 」しています。
膵液や胆汁といった消化液については、前回( 血液と腎臓&消化吸収の流れ )の「 消化吸収の流れ 」で解説しております。
肝臓の働き
肝臓の働きは主に「 代謝 , 解毒 , 胆汁の生成 」の 3 つです。
代謝は栄養素を「 体が利用できる形に作り変えたり( 合成 )、それを蓄えたり( 貯蔵 )する 」働きです。
解毒は「 有害な物質( アルコール , 薬 , 細菌 , 食品添加物など )を分解して無毒化する 」働きです。
また「 タンパク質が分解される 」過程で生じる「 アンモニア 」という有害物質を、毒性の低い「 尿素 」という物質に変えます。( 尿素は最終的に尿とともに排泄される )
胆汁の生成とは「 脂質の消化と吸収を助ける胆汁を生成する 」働きです。
生成された胆汁は「 胆嚢( たんのう ) 」という胆汁を溜めて濃縮させる場所へ送り、そして胆嚢から十二指腸( 小腸 )に送られて分泌されます。
以上のような働きから「 肝臓は人体の工場 」とも呼ばれます。
食べ物の吸収の流れ
小腸で吸収された栄養分は「 毛細血管 」に吸収され「 門脈 」という静脈を通って、肝臓に送られ、肝臓で栄養素を利用しやすい形に「 分解 , 合成 , 貯蔵 」したり、有害物質を「 解毒 」したりします。
その後これら栄養素は「 下大静脈 」を通って心臓に送られ、肺を経由し酸素と合流し、心臓から動脈を通って全身の細胞に送られていきます。
大腸の働き
栄養分を吸収された「 食べ物の残りかす 」は小腸から大腸に送られます。
大腸では「 小腸で吸収されなかったもの( 食物繊維など ) 」を「 腸内細菌がエサとして利用 」します。
これにより腸内細菌は様々な物質を作り、これが大腸から血液に入り、全身に巡ります。
また大腸は水分を吸収し、硬さを調節して便を作ります。
便は「 約 65 %が水分で、30 %が腸内細菌の死骸や死滅した細胞 」と言われており、食べたものは 5 %ほどに過ぎません。
食べ物の栄養素
食べ物には様々な栄養素が含まれていますが、その中でも「 炭水化物 , タンパク質 , 脂質 」は「 三大栄養素 」と呼ばれ、動物( 人間も含む )にとって特に重要な栄養素です。
この三大栄養素の理想のバランスは「 炭水化物 60 % , タンパク質 15 % , 脂質 25 % ほどの割合 」とされています。参考:日本人の食事摂取基準( 2020 年版 )-厚生労働省-
炭水化物 …「 デンプンや糖や食物繊維 」のことであり、炭素( 二酸化炭素 )と水から「 植物が光合成 」によって生み出してくれたものです。
植物にとっても動物にとっても、欠かす事のできない「 大切な栄養素 」と成っています。穀物( 食用としている植物の種子 , お米やトウモロコシや小麦など )やイモなどに多く含まれています。
果物も炭水化物ですが「 果物は体を冷やす 」ので、なるべく控えめにした方が良いと思います。( 体内を冷やす事は、免疫全体を下げる事になる )
体を動かす「 エネルギー源 」であり「 基礎代謝の元 」となる栄養素。つまり生きるために必要な生命活動の維持( 細胞の再生 , 呼吸 , 脳や内臓や神経の活動 , 体温維持 , 免疫力や治癒力など )に大切な栄養素です。
炭水化物は例えるなら「 燃料や電力 」というイメージです。
タンパク質 … 肉や大豆などに多く含まれ「 体を作るための材料 , 酵素やホルモンの材料 」となります。( ホルモンとは「 体の様々な働きを調節する物質 」のこと )
タンパク質は例えるなら「 部品やパーツの材料 」というイメージです。
ちなみに「 酵素 」については前回( 血液と腎臓&消化吸収の流れ )の「 酵素の働き 」という所で解説しております。
脂質 …「 細胞膜やホルモンの材料 」となり、炭水化物のように「 エネルギー源 」にもなります。
また体脂肪という形で「 エネルギー源として貯蔵 」したり「 内臓を守ったり 」する役割もあります。
脂質は消費より蓄積に回ります。( 体は脂質を蓄えようとする )
脂質のイメージとしては「 炭水化物とタンパク質の中間のような存在 」という感じです。
炭水化物と脂質の違い
炭水化物と脂質の役割は似ていますが、体は脂質より「 炭水化物の方が、何倍も速くエネルギーを生み出す 」ことが出来ます。
特に中枢神経( 神経細胞が多数集まったもの )である「 脳 」は炭水化物から生まれる「 糖( ブドウ糖 ) 」をエネルギー源としているので「 炭水化物は必須 」です。
また「 脂肪( 脂質 )は炭水化物の炎によって燃える 」と言われています。
つまり「 脂質をエネルギー源として使うには、炭水化物が必要 」ということです。
脂質ばかりだと、ただ脂肪として蓄えてしまいます。これにより消費エネルギーや燃焼が低下し、結果太ります。
合計の摂取カロリーは同じでも( 同じエネルギー量を生むとしても )、その割合が「 炭水化物が多め( 食事の60%ほど ) 」になっていないと基礎代謝が落ちていってしまいます。
逆に言えば、炭水化物にはない脂質のメリットが「 大量に体に蓄えておけるエネルギー源 」という事でもあります。( 炭水化物はあまり体に蓄えておけない )
そして「 脂肪は長時間の運動時( 有酸素運動 )に良く使われる 」のでマラソン選手などには脂肪がほとんど無いです。
ちなみに「 炭水化物( 糖質 )は瞬発力の運動時( 無酸素運動 )に良く使われる 」ので短距離走の選手などには脂肪が程よく付いたガッチリとした体型が多いです。
人体の優先順位
人体が作るものには優先順位があり、どんな食べ物が入ってきても、真っ先に優先するのは「 生命活動維持のためのエネルギーの生産 」です。
なのでそのエネルギーの生産に「 最も効率の良い炭水化物 」をとって、体を動かすエネルギーをしっかりと満たす事が大切です。
エネルギーが満たされていないと、タンパク質や脂質をとっても、それらはエネルギーの生産に使われてしまい、本来の目的を果たせなくなってしまいます。
それにタンパク質や脂質でエネルギーを作るのは、炭水化物に比べとても効率が悪いです。
よって人体が最も求める栄養素は「 炭水化物 」であると考えられます。
これが厚生労働省が発表した、三大栄養素の理想バランス「 炭水化物 60 % , タンパク質 15 % , 脂質 25 %ほどの割合 」の理由に繋がると思います。
我々動物だけでなく「 植物や種子の養分 」も「 デンプン( 炭水化物 ) 」というのも大きな繋がりがあると考えています。
ちなみに、この栄養素を使って「 エネルギーを生み出す働き 」をするのが「 呼吸 」です。
この事については「 植物の分類&つくりと働き 」の「 呼吸のしくみ 」という所と、「 肺と心臓のしくみ 」の「 肺と呼吸 」と「 健康体と鼻呼吸 」という所に書いております。
ダイエットと炭水化物
摂取カロリーは低いのに、太っている( 肥満 )という人がいます。
これは「 脂質が多く、炭水化物が少ない食事 」をしている事が原因の 1 つと言われています。
このような食事をしていると、基礎代謝が落ち、脂質はどんどん蓄積され、結果的に「 太りやすく痩せにくい 」という状態になってしまいます。
これは「 隠れ肥満( 適正体重で体型も痩せているのに、体脂肪率が高い )の原因 」にもなります。
また脂質を多く摂取していると「 食欲抑制ホルモン 」と呼ばれる、食欲を抑えるホルモンの働きを「 弱めて 」しまうので「 過食 」に繋がりやすくなります。( 止まらない食欲 )
逆に炭水化物をしっかり摂取していると「 食欲増進ホルモン 」と呼ばれる、食欲が増すホルモンの働きを「 弱めて 」くれるので「 過食防止 」に繋がります。
なので食事の取り方としては「 お米( 炭水化物 )を食べながら、少しずつおかずを食べていく 」これによって早めに食欲が満たされ、満腹になりやすく、過食を防ぐ事ができます。
これは「 お米によって適度に血糖値( 血液中のブドウ糖の濃度 )が上昇する事で、脳が満足感を得て食欲が抑えられていく 」という仕組みです。
ちなみに、ある程度お腹がいっぱいになっていても「 パン( 小麦 )や麺類( 小麦 ) 」だと食べたくなるし、食べれてしまいます。
逆に「 お米 」は必要以上に食べたくなりませんし、食べれないですよね。
このような違いが生まれる理由の 1 つとしても「 食欲抑制ホルモンと食欲増進ホルモン 」の働きがあります。
同じ炭水化物でも小麦より「 お米の方がこれらのホルモンが正常に働く 」と言えます。
つまり「 小麦は偽物の食欲( 止まらない食欲 ) 」が生まれやすく「 お米は正常な食欲( 必要最低限の食欲 ) 」が維持されやすいと考えられます。
また「 お米は消化に時間が掛かる 」ので「 腹持ちが良い 」です。なので「 胃腸の消化力も鍛えられる 」と言われています。
よって個人的には「 健康的なダイエット 」には「 お米 」を推奨します。自分自身も長年のお米中心の食生活で、20年近く体型が変わらず、体重もほぼ一定を維持しております。
免疫と腸内細菌
免疫とは「 健康を維持し、細菌やウイルスなどから体を守り、病気や怪我( ケガ )を修復するシステム 」です。
小腸と免疫
食べたものは「 小腸から血液に吸収 」されるので、悪いものが血液に入らないように「 小腸は免疫細胞が最も多い 」です。
ちなみに「 小腸と大腸 」で人体の免疫の「 約 70 % 」を担っています。「 腸は最大の免疫器官 」という事です。( 腸は免疫の要 )
このように「 食べ物を食べる 」とは「 免疫を働かせる 」ことになるので「 小腸は食べ物の影響を受ける 」と言えます。
「 食べ過ぎ 」や「 体にとって負担が大きい食べ物 」は、免疫が多く使われてしまいます。
そして当然ながら食事は「 肝臓にも負担 」をかけます。( 食べたものの代謝と解毒を行っているので )
また「 タンパク質が多い 」と「 胃 , 肝臓 , 腎臓の負担が大きくなる 」ので、注意しましょう。
「 消化 」に免疫が回されてしまうと、体の治癒( 病気や怪我を治す )などに免疫力が使えなくなってしまい、その結果「 体全体の免疫力が低下 」してしまいます。
「 病気の時はあまり食べない方が良い 」と言われるのは、体の免疫力を食事での免疫に回さずに「 体の修復に使うため 」です。
野生動物も病気や怪我をした時は、エサを食べずに横になって安静にして治すと言われています。
つまり消化ではなく「 代謝 」に使うということです。それほど人体にとって「 消化 」というのは「 とても体力を消耗する大仕事 」と言えます。
個人的にも風邪をひいた時など体調を崩した時は、食べずに安静にしている方が治りが早いです。
もちろんお腹が空いて食欲があるなら、食べてもOKだと思いますが、食欲が無いなら、体の声に素直に従った方が確実に治りが早いと感じています。
体調が悪い時は「 なるべく頭で考えずに、体が何を求めているのか 」と「 体の声を聞き、それに従うこと 」が早く治るコツだと個人的には考えています。
そして「 消化と代謝 」には優先順位があり「 消化が優先 」されます。それは消化の作業の方が「 緊急性が高い 」からです。
「 外部から入ってきた敵( 有害物質など )を退治 」してからでないと、ゆっくり「 体の修復やメンテナンス 」はできないというイメージです。
このような消化と代謝の関係は、自律神経の「 交感神経と副交感神経の関係 」に似ていると感じました。
そもそも「 消化と代謝 」の働きを支配しているのは「 自律神経 」です。
自律神経については「 骨と筋肉&神経の働き 」の「 末梢神経の分類 」と「 自律神経の特徴 」というところで解説しております。
そして自律神経は「 呼吸 」特に「 鼻呼吸 」によって整える事ができます。
詳しくは「 肺と心臓のしくみ 」の「 自律神経と鼻呼吸 」というところで解説しております。
消化の働きは「 消化酵素 」が行い、代謝の働きは「 代謝酵素 」が行っています。
消化酵素と代謝酵素については前回( 血液と腎臓&消化吸収の流れ )の「 酵素の働き 」という所で解説しております。
小麦とグルテンフリー
近年問題になっている「 リーキーガット症候群 」と呼ばれる「 小腸や大腸の粘膜に穴が空き、異物( 有害物質など )が漏れて血液に入ってしまう現象 」があります。
これが「 生活習慣病 , アレルギー , うつ病 , 自己免疫疾患など 」様々な病を引き起こす原因にもなっていると言われています。
このリーキーガット症候群は、様々な理由( 生活習慣 , 飲食 , 薬 , ストレスなど )によって「 腸内細菌のバランスが崩れること 」が原因と考えられています。
また「 小麦に含まれるグルテンというタンパク質 」が原因の 1 つとも言われています。( グルテンが腸の粘膜を傷つけ、剥がしてしまうと言われている )
そこで最近は「 グルテンフリー 」と呼ばれる「 小麦粉不使用の食品 」が多く出てきました。
ただ「 リーキーガット症候群という病名は存在せず、現状では医学的根拠もまだ示されていない 」とも言われているので、まだ本当にはっきりした事は分かっていないようです。
また「 小麦は体を冷やす 」ので、グルテンの問題とは別にしても控えめにした方が良いかも知れません。
体内を冷やすことは「 免疫全体を低下させる事になる 」からです。( 代謝酵素の働きも低下する )
なので、やっぱり個人的には炭水化物は「 お米 」を推奨します。
大腸と腸内細菌
大腸は免疫細胞の数は小腸より少ないのですが「 腸内細菌が小腸よりはるかに多く存在 」しています。
この腸内細菌は一般的に「 善玉菌 , 悪玉菌 , 日和見菌( ひよりみきん ) 」という 3 つのグループに分けられます。
善玉菌は主に「 炭水化物( 糖質や食物繊維 ) 」をエサにしています。
悪玉菌は主に「 タンパク質や脂質 」をエサにしており、日和見菌は「 数の多い方に味方する菌 」です。
腸内細菌のバランスは「 善 20% : 悪 10% : 日 70% 」の割合が理想的とされています。
食べ物によっても腸内細菌のバランスは変わるので「 大腸も食べ物の影響を受ける 」と言えます。
つまり「 善玉菌のエサが多いと善玉菌が増え、悪玉菌のエサが多いと悪玉菌が増える 」ということです。
また、善玉菌と悪玉菌はエサを食べることで、様々な物質を生み出します。
善玉菌が生み出す物質は「 免疫力を上げたり、腸内環境を整えたり 」といった、体にとって有益な物質なので「 善玉菌 」と呼ばれています。
悪玉菌が生み出す物質は「 多いと体にとって有害な物質 」となってしまうので「 悪玉菌 」と呼ばれています。
でも「 悪玉菌がいるからタンパク質や脂質を分解できる 」ので悪玉菌も大切な存在です。ただ「 多過ぎてはダメ 」という話です。
ちなみに悪玉菌は「 腐敗臭 」を出すので、それが口臭 , 体臭 , 便臭などに繋がると言われます。細菌( 微生物 )がタンパク質や脂肪を分解すると悪臭を放つようです。
腸内細菌は「 ストレス , 運動不足 , 睡眠不足 , 薬 , 年齢 などの生活習慣や環境の影響も受ける 」ので「 全く同じ腸内環境の人はいない 」と言われています。
また「 体質も腸内細菌で決まる 」と言われています。
腸内環境が悪いと「 便秘 , 老化 , 体臭 , 精神不安定 , アレルギーなどの問題 」や「 免疫力の低下によって、様々な病気になりやすくなる 」と言われております。
腸内細菌は遺伝子のように、先祖代々受け継がれてきたものなので「 日本人の腸内細菌 」には「 日本人が昔から食べてきたもの 」が合っています。
なので「 お米 , 味噌汁 , ぬか漬け , 海藻 , きのこなど 」が良いとされています。またお米には良質なタンパク質も含まれています。
生活習慣の改善などで腸内環境が良くなると「 元気になり、若々しくなり、体臭が減り、お通じが良くなり、免疫力が高まり、病気になりづらく治りやすくなる 」といった事が言われています。
また「 肌は腸の鏡 」と言われるので「 肌がキレイになる美肌効果 」も期待できます。体の内側からの美しさなので「 本当の美肌 」と呼べると思います。
そして腸内環境は「 メンタルヘルス( 精神 , 心の健康 ) 」とも深く関わっているので、心が安定して落ち着いていくという効果も期待できます。
これは「 腸と脳 」には深い繋がりがあり「 腸は第二の脳 」と呼ばれるほど「 腸と脳は互いに影響し合っている 」からです。
なので腸の良い状態が、脳に良い影響を与えることで、メンタルを安定させていくという仕組みです。
逆にいえば腸の状態が悪いから、脳に悪い影響を与え、メンタルが不安定になっていると考えられます。
一説によると「 人の性格は腸内細菌で決まっている 」という話もあります。体質が腸内細菌で決まるなら、あり得る話だと思いました。
まだまだ謎が多く、全てが解明されてはいない「 腸内細菌の世界 」ですが、個人的には面白いと感じました。
この腸内環境の状況を教えてくれるのが「 便( 大便 ) 」です。便は「 お便り( お知らせ , 手紙 ) 」とも言われ、体の状態を教えてくれるものです。
1 日 1 回以上のお通じがあり、いきまずスルッと排便できて、ニオイが強くなく、色が黒っぽくなく、軽く浮く。このような便が理想的だとされています。
小便も大便も「 体のお便り 」なので、調べると体の状態が分かるのです。
以上のように「 腸内細菌 」から見ても「 炭水化物 60 % , タンパク質 15 % , 脂質 25 %ほどの割合 」が日本人の健康的な食事バランスとなっている事に納得がいきました。
余談「 筋トレより腸トレ 」
お米が消化に悪いと言われるのは、消化に時間が掛かる( タンパク質は主に胃で消化されるが、お米は主に小腸で消化される )からで、だから「 腹持ちが良い( 少量でもしっかり持つ ) 」のでした。
お米を食べると眠くなりやすいのも、他の食べ物と違い「 お米は消化・吸収に胃腸力を大きく使う 」からと言われています。
なので胃腸の消化力が低下していると、そちらに体力が使われて眠くなってしまいます。
逆にいえば胃腸の消化力が弱いから、眠くなったり、胃がもたれたり、お腹を壊したりしてしまうので、健全な胃腸力を持っていれば、このような問題は起こらないとも言えます。
体の機能というのは「 使わなければ衰えていき、使うほど強くなっていく 」という傾向があります。( もちろん限度や程度はある )
例えば、筋肉などがわかりやすい例です。筋肉は使えば使うほど、筋繊維が破壊され、そして修復・再生される事で以前より強い筋肉になります。
そして胃腸などの「 内臓も筋肉 」で動いています。これについては「 骨と筋肉&神経の働き 」の「 筋肉の種類 」というところで解説しております。
よって胃腸の消化力・吸収力を鍛えるためにも「 お米を食べることは大切 」だと言われています。
最初は少量からでも良いので、毎日しっかりお米を食べることが「 胃腸 , 腸内細菌 , 免疫 ひいては心身の健康 」にとても大切な事だと思います。
自分は昔からお米が大好きなので、毎日たくさん食べていますが、眠くなったり、胃がもたれたりすることは滅多にありません。
体調も自信を持って「 元気です 」と言えるぐらい好調です。自分の健康の土台は「 鼻呼吸 」と「 お米を中心とした食事 」で成り立っています。
ちなみに「 鼻呼吸 」については「 肺と心臓のしくみ 」の「 健康体と鼻呼吸 」というところで解説しております。
このように、お米を食べることは「 胃腸のトレーニング 」となりますので、個人的には「 筋トレより腸トレ 」こそが今の時代に必要なのではないかと考えています。
あとがき
「 人の体は食べたものから作られる 」と言います。
食べ物を食べると、様々な臓器が協力し合い、複雑な仕組みを作りながら、人の体は作られていきます。
逆にいうと、このような複雑な仕組みが、人体が生きるためには必要だったという事です。
それだけ「 食べ物を食べる 」という事は「 内臓に負担をかける 」作業だったのですね。
この事が今回の総括( 全体をまとめる )として、一番衝撃でしたし、一番勉強になった事です。
人が生きる上で、決して欠かす事のできない「 食事 」でも食事は「 内臓にとって負担のかかる大仕事 」だった。
特に「 肝臓 」にはどれだけ負担がかかっているのでしょうか。口から入ってくる飲食や薬などに、全く有害なものが入っていないなんて事は、有り得ないですよね。
それは現代だけでなく、大昔から人が口に入れるものには、必ず何か有害なものがくっついていたという事です。
だからそれを想定して、人体は肝臓という臓器を用意し、その機能として「 解毒 」という力を持たせたのでしょう。( 唾液や胃液に「 殺菌効果 」があるのも )
これは人体における「 免疫 」に関しても同じですね。だから最初に外のものが体内( 血液 )に入ってくる「 小腸 」に一番免疫細胞が多かったわけです。
さらに肝臓は食べ物の栄養素を「 体が使える形に作り変える( 合成 ) 」こともやっているので、それは負担が大きいはずです。
また「 タンパク質 」は、体にとって負担が大きいというのも興味深かったです。だから三大栄養素の理想バランスでタンパク質の割合が「 最も小さい 15%ほど 」になっているのですね。
「 脂質 」も肝臓がわざわざ「 脂質の消化と吸収に特化 」した「 胆汁を作る 」という事は、普通の消化吸収のシステムではダメだという事なのでしょう。
それだけ「 脂質を消化吸収させる 」事は「 肝臓に負担が大きい 」という事なのだと思います。
糖質制限ダイエットで炭水化物をほとんど取らず、タンパク質や脂質を多く摂取するというのは、体にとって非常に負担の大きいダイエットだと思います。
過剰なタンパク質は「 胃( 主にタンパク質を消化 ) , 肝臓( 有害物質のアンモニアの分解 ) , 腸内環境( 悪玉菌の増殖 ) , 腎臓 」への負担が大きいので怖いです。
脂質も同様に「 胃 , 肝臓 , 腸内環境 , 腎臓 」への負担が大きいので要注意です。
当然、免疫力も低下し病気になりやすくなってしまいます。
だから「 三大栄養素の理想バランス 」も炭水化物に比べ「 タンパク質と脂質が極端に少ない 」のでしょう。
また糖質制限は体重や体脂肪は落ちていくかも知れませんが、見た目が「 やつれたり、げっそりと貧相になったり、しわやたるみが出たり、老けた感じ 」になる事が多い気がするので、個人的にはお勧めしません。
「 健康 」のためには「 免疫 」が大切で、その免疫には「 腸内環境 」が大切で、腸内環境の改善には「 善玉菌 」が大切で、その善玉菌のエサが「 炭水化物 」でした。
そして炭水化物は、懸念要素( 不安に感じる点 )がある小麦より、先祖代々食べてきた胃腸のトレーニングにもなる「 お米がお勧めです 」という個人的な結論を残して終わりたいと思います。
今回の記事は「 個人的な考察や独自の解釈 」が多くなってしまいましたが、何かのお役に立てれば幸いです。
最後までお読み頂きまして、誠にありがとうございました。