[物理] 音の性質

第 12 回のテーマは「 音の性質 」です。

今回は「 音とは何か、音の伝わり、音速と光速、音の 3 要素、共鳴( 共振 )、ドップラー効果 」といった事を書いていきたいと思います。

音とは何か

音とは「 振動 」であり、音が出るときは「 何かが振動 」しています。

この音を発するもの、つまり「 振動している源 」を「 音源 」と言います。

そしてこの振動が、空気に伝わり「 空気が振動 」します。その振動が耳に届き、鼓膜(こまく)を振動させることで、私たちは音として認識( 聞こえる )しています。

空気が振動して「 」となって伝わる現象を「 」と言います。

音は音源から離れていくにつれ「 減衰(げんすい、少しずつ減少していくこと) 」していき、ある程度離れると聞こえなくなります。

また音は、物や壁や地面などに接触することでも、減衰していきます。( 空気中の場合 )

音は「 振動 = 波 」なので「 音波 」とも言います。( 波とは振動が次々と周辺に伝わっていく現象 )

これは「 光と同様 」です。つまり音は「 波の特徴 」を持つということです。

よって、前回学んだ「 波長振幅周期 」や「 周波数( 振動数 ) 」そして「 波の干渉、波の反射など 」の特徴を持ちます。

詳しくは「 光の性質 」の「 光の正体 」というところで解説しております。

」は周波数の違いによって「 」が変わりましたが、「 」では「 音の高さ 」が変わります。

波の反射 」として「 音が物に当たると跳ね返る 」ということの 1 つの例が「 山彦(やまびこ) 」です。

山彦は山や谷に向かって大きな音(ヤッホーと大声)を出すと、音が跳ね返ってきた結果、少し遅れて音が返ってくる(ヤッホー、ヤッホー、… )現象です。

ちなみに「 糸電話 」で声が聞こえるのも、声によって糸が振動して、波となって伝わっているからです。

が出るのも喉仏(のどぼとけ)のあたりに「 声帯 」という、弦楽器(ギターなど)の弦のような働きをする部分が振動 」するからです。

耳をふさぐと音が聞こえづらくなるのも、空気の揺れが耳の中に入りづらくなるからです。

音が聞こえるためには音源( 音を発生させるもの ) 」と「 音を伝えるもの 」の 2 つが必要になります。

難聴のベートーベン

ドイツの作曲家ベートーベンは難聴であったと言われていますが、どうやって作曲をしていたのでしょうか。

人は耳をふさいでも、自分の声は聞こえます

これは、のどの「 声帯の振動 」が「 骨を通じて音を感じとる神経( 鼓膜の奥の器官 )に伝わるからです

これを「 骨伝導(こつでんどう) 」と言います。

私たちが日常で自分の声と感じているものは、「 空気を伝わって耳に届いた音( 気導音 ) 」と「 骨伝導によって伝わる音( 骨導音 ) 」が混ざった音です。

なので自分の声を録音して聞いてみると、いつも聞いている自分の声と違って聞こえるのは、録音された音は気導音だけ 」だからです。( マイクを通してスピーカーから聞こえるのも気導音だけ )

ベートーベンは指揮棒( タクト )を歯で噛み、その先端をピアノに押し当てて( ピアノは音を出しているので、ピアノ自体も振動している )骨伝導で音を聴き取り、作曲を続けたと言われています。

音の伝わり

音は空気( 気体 )の中だけでなく「 液体固体の中も伝わっていきます

マイクで歌を歌ったり、楽器を鳴らしたりして大きな音を立てると、周りにある物が小さく揺れるのも、振動( 音 )が伝わっているからです。

液体固体の中では、空気中に比べて「 音の減衰が非常に少なくはるかに遠くまで伝わる 」という特徴があります。

音の伝わる速さ( 音速 )は、速い順に固体液体気体となっています。( 硬いものほど速く伝わるというイメージ )

例えば、空気中の音速を「 1 」とすると、水中では「 約 4.5 倍 」、では「 約 18 倍 」も速くなります。

また、離れたところに音が届くのは「 空気が振動して音を伝えているから 」なので、空気がない状態( 真空に近い状態 )では音は伝わりません。( 宇宙で音は聞こえない )

ここが光との違いです光は粒子でもあるので、宇宙でも伝わっていきます

また音速は、気体の場合温度( 気温 )が上がるほど速くなるという性質があります。

よく基準となる音速は秒速 340 m( 1 秒間に 340 m 進む)ほど 」ですが、これは「 気温 15 ℃ぐらい空気中 での音の伝わる速さです。

ちなみに秒速 340 mとは「 東京から大阪まで約 20 分で行ける速さ 」であり、時速 1,224 km( 340m×60秒×60分 )です。

新幹線が時速 300 kmほどなので、新幹線の 4 倍速いです。また飛行機が時速 1,000 kmほどなので、飛行機よりも速いです

空気( 気体 )よりも音の伝わりが速い液体 」と「 固体 」の音速は、

例えば「 」では「 秒速 1,500 m( 秒速 1.5 km )ほど 」です。

固体は「 アルミニウム 」では「 秒速 6,000 m( 秒速 6 km )ほど 」で「 ガラスコンクリート 」では「 秒速 4,000 m( 秒速 4 km )ほど 」となっています。

高速で、なおかつ遠くまで伝わるという事から、液体固体の中では、情報を伝える手段として 」が非常に有効になります

超音波

人間が聞き取れる周波数( 音の高さ )の範囲は、およそ「 20 〜 20,000 Hz ( 20 kHz ) 」までと言われています。

この範囲より低い周波数の音を超低周波音 」、高い周波数の音を超音波 」と言います。( 人間の声は、普通の会話の場合で 300 〜 800 Hz )

周波数が高いほど高い音になり、低いほど低い音になります。

周波数の単位は Hz (ヘルツ)です。 1 kHz (キロヘルツ) = 1,000 Hz 。

周波数は「 1 秒間に空気が振動する回数 」でもあるので、例えば 1,000 Hz なら「 1 秒間に 1,000 回も空気を振動させている 」という事です。

音が鳴る 」とは「 すごい速さで空気が振動している 」と言えます。

動物の中には、もっと高い音が聞き取れる動物もいますイルカ100,000 Hz ( 100 kHz )の音を、コウモリ300,000 Hz ( 300 kHz )の音も聞き取れると言われています。

これらの動物は、体から超音波を出してそれが周りの物に当たって反射するまでの時間によって距離や周囲の状況を知ることができます。

イルカクジラ超音波遠く離れた( 数百キロ以上 )仲間とのコミュニケーションをとっているようです。

超音波は暗闇でも使えるので、光がなくても周囲の状況を知ることができます。また通常の音波( 人間が聞き取れる周波数 )と違い、曲がりにくいという性質もあります

これらの性質を利用して「 超音波探知機 」という海の中や海底の地形を調べたり魚の群れを探知したりする機械が作られています。

また病院などでの「 エコー( 超音波 )検査 」といった胎児の様子を見たり内臓の検査をしたりといった事にも使われています。

心臓の音

自分や他人の心臓の音は、通常の音の伝わり( 空気の伝わり )では聞くことはできません

ですが、胸に手を当てたり、耳を当てたりすると聞こえるようになります。

これは固体( 人体 )から出る音は、空気を通してしまうと( 間に空気があると )減衰されて耳で聞こえないのですが、

手や耳を当てることによって、固体同士ダイレクト( 直接 )に音が伝わるので聞こえるようになるのです。

例えば、部屋にいる時に、隣の部屋の声や音は聞こえづらいですが壁に耳を当てると聞こえやすくなるのも同じ原理です

これらは「 を通じて固体の振動が、直に鼓膜の奥の器官に伝わる 」という骨伝導の作用です。

外の音と部屋の音

部屋の中にいて、外の音が大きくよく聞こえると「 部屋の中の音も、外に聞こえているのかな 」と思った事がある人もいるかも知れませんが、

まず「 外がどんなに静かでも部屋の中の方が圧倒的に静かである 」ということ。

そして「 静かな時ほど小さな音がよく聞こえるようになる 」ということ。

逆に「 うるさい時( 様々な音が発生している時 )ほど、それぞれ個別の音の判断ができなくなる( 小さな音も聞こえない ) 」ということ。

例えば、普段は時計の秒針の音が気にならない( 聞こえない )のに、夜寝るときにハッキリと聞こえるようになるのも、これらの理由からです。

外はいくら静かといっても、密閉されたような空間ではないので、常に様々な種類の音が存在しています。いわば外は「 静かな雑音 」が常に鳴っている状態です

逆に部屋の中は、TV やスピーカーなど( 音を出して楽しむもの )を消してしまえば、壁や窓で囲まれた空間なので、非常に静かです

このような状態では、通常の部屋の中での生活音や会話の声が、外にいる人に聞こえる事はありません。

逆に「 外での話し声は、部屋の中までよく聞こえる 」ので要注意です。

超音速

空気中での音速は「 秒速 340 m( 340 m/秒 ) 」ですが、この速度を「 マッハ 」という単位を使い「 マッハ 1 」と表します。

例えば「 マッハ 2 なら 680 m/秒 」「 マッハ 3 なら 1,020 m/秒 」ということです。

つまり、ある物の速さが音の速さの何倍か 」を表す数値が「 マッハ数 」ということです。

1969 年にイギリスとフランスが共同開発した「 超音速旅客機コンコルド 」は「 マッハ 2 ( 680 m/秒 ) 」で飛んでいましたが、2003 年に退役しています

この超音速( 音速を超える速度 )の飛行機はなぜ退役してしまったのでしょうか。超音速が引き起こす問題を書いておきたいと思います。

音速を超えると、飛行機には自分が出した音はもう届きません。( 音を超える速さで進むと、音は聞こえなくなる )

つまり「 音が置いていかれる 」ということです。

この時、飛行機の後ろの方では置いていかれた大量の音が詰め込まれて衝撃波 」が発生します。

これが爆音として地上に届いたものが超音速飛行機が作り出す「 ソニックブーム 」です。

ソニックブームとは、衝撃波が生む轟く(とどろく)ような大音響のことです。

このソニックブームによって、実際にガラスが割れるなどの被害も出たようです。これは衝撃波が、地上まで減衰せずに到達したことによる被害です。

音速の 2 倍のスピードで飛行するコンコルドは「 ソニックブームの騒音 」と空気抵抗の増加による「 燃費の悪化 」などの問題から退役に至ったと言われています。

ちなみに「 雷が落ちた音 」も「 衝撃波の音 」です。

の速さは「 電気が伝わる速さ 」であり、これは「 の速さ 」なので、音速よりはるかに速い超音速 」です。

物の硬さと音

固体の硬さを調べる最も簡単な方法は「 叩くこと 」です。

硬いものを叩けば「 高く響く音 」が出て、柔らかいものを叩けば「 鈍く(にぶく)、こもった音 」が出ます。

この理由は、物が叩かれた時の表面の凹み(へこみ) 」にあります。

硬いものは「 凹む量が少なく、それを回復する( 凹んだ部分が元に戻る )のにかかる時間も短い 」です。

よって硬いものは小さく凹み素早く回復するため、その動き( 揺れ )が空気を鋭く振動させて高くて響きのよい音 」を生み出しています。

柔らかいものは「 大きく凹みなかなか元に戻らない( 目に見えて回復が遅い ) 」このような動きから生じる空気の揺れ程度では、私たちは音としてあまり認識しません

例えば「 木のまくら 」を叩くと音が響きますが、「 低反発のまくら 」を叩いても凹んだままで、なかなか元に戻らず、音もほとんど鳴りません

音速と光速

音の速さ( 空気中 )は「 秒速 340 mほど 」で、光の速さは「 秒速 30 万 kmほど 」です。

も日常的な速度としては、とても速い( 飛行機よりも速い )ですが、

は非日常の速度過ぎて、想像ができないくらいケタ違いに速いです。( 1 秒間に地球を 7 周半する速さ )

比べてみると、光の速さは「 88 万倍の速さ 」です。( マッハ 88 万ということ )

現状ではよりも速いものは存在しない 」という事になっています。未来には何か発見されているかも知れません。

この音速と光速の違いを実感できる例を紹介したいと思います。

花火と雷

花火大会などで「 打ち上げ花火 」が見えた時、音が遅れて聞こえることがありますが、これは光と音の速さの違いで起こる現象です。

打ち上げ場所に近いところから花火を見る場合には、あまり起きない現象ですが、

打ち上げ場所から離れている場合花火が見える( 光が目に届く )のは光の速度ですが、花火の音音の速度なので遅れてしまいます

でもこの現象を利用して、現在地から花火の打ち上げ場所までの距離を調べることができます

例えば、花火が見えてから 3 秒後音が聞こえたら花火の音打ち上げ場所から現在地まで届くのに 3 秒かかったということです。

そして、音の速さ秒速 340 mなので、340×3 = 1020 よって現在地から打ち上げ場所までの距離は 1,020 m( 1.02 km )ほどと分かります。

(カミナリ) 」も同じです。雷も光ってから音が聞こえます光ってから音が鳴るまで時間が短いほど、現在地が雷の発生場所から近いので「 危険 」という事になります。

音が鳴るまでの時間( 何秒 )によって、発生場所までのおよその距離が分かるのは花火の時と同じです

音の 3 要素

音には「 音の違い 」が生まれる「 3 つの要素 」があります。

音の大きさ( 振幅 ) 」「 音の高さ( 周波数 ) 」「 音色( 波の形状 ) 」です。

音の大きさ = 振幅( 波の高さ )であり、いわゆる「 音量 」のことです。「 空気の揺れ幅の大きさ 」でもあります。( 大きければ大きな音になり、小さければ小さな音になる )

音の高さ = 周波数( 1 秒間に繰り返す波の数 ) = 振動数( 1 秒間に空気が振動する回数 )のことで「 空気が揺れる速さ 」と言えます。単位は「 Hz (ヘルツ) 」です。

これは波長が短い( 波の間隔がせまい )ほど、高い音になるとも言えます。

つまり周波数が高い( 振動数が多い、波長が短い )ほど高い音になり、周波数が低い( 振動数が少ない、波長が長い )ほど低い音になるという事です。

音の高さの違いとは「 音程( ドとレは音が違うなど ) 」のことです。また音の高さ低い順や高い順に並べたものを「 音階( スケール ) 」と呼び「 ド レ ミ ファ ソ ラ シ ド 」が有名です。

音色 = 波の形状のことで、例えば同じ音の大きさで同じ音の高さでも、ギターとピアノでは聞こえ方( 音の質 )が違います

同じ高さの音でも、人の声やピアノの音やバイオリンの音などが、それぞれ違うのは「 波の形の違い 」によるものです。

人によって声が違う 」というのも、この「 音色が違う 」からです。

なので「 声の指紋 」と呼ばれる「 声紋 」として個人差が生じます。これを分析することで「 性別、顔の形、身長、年齢など 」を特定する「 声紋分析 」というものもあります。

音の違いと楽器

これら音の違いを、具体的にギター( 弦楽器 )で見てみると

音の大きさ( 振幅 )は「 弦を弾く(はじく)強さ 」であり、音の高さ( 周波数、弦の揺れる速さ )は「 弦の太さ( 細いほど高い音 )や弦の長さ( 短いほど高い音 )や弦の張り方( ピーンと強く張るほど高い音 ) 」で変わります。

音色は「 楽器の違い( ギターの種類の違いなど ) 」です。

弦の長さとは「 振動する弦の長さ 」のことです。指で弦を押さえる場所によって振動する弦の長さが変わります

どこも押さえない時に、振動する弦の長さは一番長く( 一番低い音 )なり、押さえる場所が弦を弾く位置に近づくほど短く( 高い音 )なるという事です。

ギターは「 弦の張り方 」が「 チューニング( 調律 ) 」という音合わせ( 各弦の音を、それぞれ決まった高さに合わせる )の作業です。( ド レ ミを合わせるイメージ )

そして指で弦を押さえる位置を変えて「 振動する弦の長さ 」を変えていくことで、メロディが生まれ「 曲を演奏 」しています。

あとは「 弦を弾く強さ 」の微妙な違い( 弾き方の違い )によって「 個性 」が出たりします。

チューニングの音

音楽( 楽器 )のチューニングの基準となる音は「 ( A )の音 」です。チューニングに使う音叉( 決まった周波数の音を出す U 字型の金属の棒 )の音も「 」です。

オーケストラ( 管弦楽団 )では「 ラの音 」でチューニングします。( 管弦楽団とは管楽器、弦楽器、打楽器を演奏する団体 )( 管楽器とは管があり息を吹き込んで演奏する楽器 )

この「 ( A )の音 」の周波数は「 440 Hz 」です。ピアノの鍵盤でいうと、真ん中ほどに位置する基準となる 」です。

ラの次の( B )の音 」は「 490 Hz 」で、ラの前の( G )の音 」は「 390 Hz 」です。

また「 1 オクターブ上の音( 高い音 ) 」になると、周波数は「 2 倍 」になります。

例えば、ラの音は「 440 Hz 」なので、1 オクターブ上のラの音は「 880 Hz 」になります。

そして「 ある音 」と周波数がちょうど2 倍 or 半分 」になる音を、人は「 高さは違うが同じ音 」と認識します。

よって、ある音が「 ( C ) 」なら、1 オクターブ上の音( 2 倍の周波数 )も、1 オクターブ下の音( 半分の周波数 )も、音の高さは違うのに、同じ音名の「 ( C ) 」と名付けられました

ドレミとアルファベット

音楽では「 ,,,ファ,,, 」の 7 音を「 C , D , E , F , G , A , B 」と 7 つのアルファベットで表しますが、なぜド=Aではなくて「 = A 」なのでしょうか。

一説には、古代ギリシャで使われていた弦楽器の、一番低い音を「 A 」と名付け、それが今の音でいう 」の音だったというのが始まりのようです。

始まりとして決めた音A 」が「 」であり、これが「 基準の音 」にもなりました。

そこから順に「 ,,,,,ファ, 」の音に「 A , B , C , D , E , F , G 」とアルファベットを当てていきました。

それ以降、時代の流れの中で,,,ファ,,, 」の順の方が使いやすく、都合が良かったようで、現在ではこの形で使うのが一般的になっています。

また、日本語の音名も,,,,,ファ, 」を、いろは歌の最初の 7 文字,,,,,, 」と当てていきました。

ちなみに、いろは歌とは仮名( ひらがなやカタカナ )を重複させずに 47 文字( 五十音のヤ行のイとエ、ワ行のウを除いた 47 文字 )を使って作られた歌です。

いろは歌は「 仮名を覚えるために、古くから使われてきた 」と言われています。

この歌の最初の 3 文字が「 いろは 」であることから、「 いろは(イロハ) 」は「 物事の最初に習う部分、基礎や基本を意味する言葉 」としても使われています。

よって「 ,,,ファ,,, 」を日本語の音名で言うと「 ,,,,,, 」となります。

これが楽譜で登場するト音記号( ト長調 ) 」、「 ヘ音記号( へ長調 ) 」、「 ハ音記号( ハ長調 ) 」に使われています。

ト長調とは「 」つまり「 ( G ) 」から始まる( ソが主役となる音、主音 )という意味で、ト音記号( G の文字を図案化、主に高音部を記すときに使われる )は「 ソ( G ) 」の位置を表します

ヘ長調とは「 」つまり「 ファ( F ) 」から始まる( ファが主音 )という意味で、へ音記号( F の文字を図案化低音部を記すときに使われる )は「 ファ( F ) 」の位置を表します

ハ長調とは「 」つまり「 ( C ) 」から始まる( ドが主音 )という意味で、ハ音記号( 2 つの C を左右逆にしたような形中音部を記すときに使われる )は「 ド( C ) 」の位置を表します

大譜表と呼ばれる「 ト音記号ヘ音記号の五線譜が 2 段に組み合わさった楽譜 」は、ピアノなど音域が広い楽器で使われるので「 ピアノ譜 」とも呼ばれます。

この大譜表では上下 2 つの五線譜( ト音記号へ音記号 )のちょうど真ん中の部分が、「 ハ音記号 」の「 」つまり「 」の音の位置になっています。( ピアノの鍵盤での「 真ん中のド 」の位置 )

なので「 ( C ) 」は始まりの音というよりも、「 真ん中の音 」として見ると、全体が分かりやすくなるかも知れません。

ちなみに「 ピアノ 」は音域がとても広く( ピアノだけでオーケストラの曲を演奏できる )、和音( 異なる音を同時に鳴らし、合成された音が出る )も出せることなどから「 楽器の王様 」と呼ばれています。

ピアノの仕組みは、鍵盤を押すと、その鍵に連動したハンマーが、対応するを叩くことで音が出る「 鍵盤楽器 」です。

また構造の特徴から「 打弦楽器 」と呼ばれることもあります。

音程とオクターブ

音程( 音の高さの違い )を表す単位は「 ( ど ) 」です。

例えば「 から見て3 度 」と言います。この数え方は、基準となる音( 今回なら )を 1 度と数え、2 度3 度となります。

なので「 1 オクターブ上 」は「 8 度 」となります。「 8 度音程( 基準となる音と 8 度音の高さが違う ) 」とも言います。( ド,レ,ミ,ファ,ソ,ラ,シ,ド で 8 度 )

この「 8 度上の音( 1 オクターブ上の音 ) 」になると「 周波数が 2 倍 」になり、「 8 度下の音( 1 オクターブ下の音 ) 」になると「 周波数が半分 」になるのでした。

そして「 8 度違う音( 1 オクターブ違いの音 ) 」を、人は高さは違うけど同じ音 」だと認識するのでした。

そもそもオクターブとは「 8 番目 」を意味する言葉です。

octave( オクターブ ) 」の「 oct 」はラテン語で「 8 」という意味なので、海の軟体生物「 タコ 」を「 octopus = オクトパス 」というのも「 8 本の足 」という意味です。

少し話が逸れますが、「 10 月 」を英語で「 October( オクトーバー ) 」というのは、大昔のヨーロッパ( 古代ローマ )では「 1 年が 10 ヶ月( ローマ暦 ) 」であったことに由来します。

1 年の始まりは、今でいう 3 月から 」だったのです。つまり「 1 年は春から始まり冬で終わる 」という考えでした。

今でいう「 3 月から 12 月まで 」が当時のローマでの 1 年1 月から 10 月まで 」というイメージです。

なので今でいう「 10 月 」は当時のローマでは8 番目の月 」になります。よって「 October 」です。

  • 「 September( セプテンバー ) 」の「 9 月 」は「 7 番目の月 」という意味
  • 「 November( ノーベンバー ) 」の「 11 月 」は「 9 番目の月 」という意味
  • 「 December( ディッセンバー ) 」の「 12 月 」は「 10 番目の月 」という意味

その後「 2 ヶ月 」増えて「 1 年が 12 ヶ月 」になりました。この時「 1 月を新しく 1 年の始まりの月 」として「 今までの 10 月1 年の終わりの 12 月 」としました。

ちなみに「 1 〜 6 月 」は「 神話の神様の名前 」が由来で、「 7 月と 8 月 」は当時の「 ローマ皇帝の名前 」が由来と言われています。

音の成り立ち「半音と全音」

音というのは「 ド , ド♯, レ , レ♯, ミ , ファ , ファ♯, ソ , ソ♯, ラ , ラ♯, シ 」の「 12 音 」から成り立っています。

これは、ピアノの黒鍵( 黒い鍵盤 )を加えたときの「 ド 〜 シ までの鍵盤( 白鍵 + 黒鍵 ) 」です。ピアノの鍵盤はこの 12 音を 1 セットとして、それが何セットか繋がっています

( ドとレの間の黒鍵が ド♯、レとミの間の黒鍵が レ♯、ファとソの間の黒鍵が ファ♯、ソとラの間の黒鍵が ソ♯、ラとシの間の黒鍵が ラ♯ )

(シャープ) 」とは「 半音高い(上がる) 」という意味です。「 (フラット) 」は「 半音低い(下がる) 」という意味です。

これは「 1 オクターブ12 の平等な音程に分割( 12 等分 ) 」して、それを「 半音 」と定め、半音の 2 倍( 半音半音 )を「 全音 」として扱うという「 十二平均律 」というものです。

「 1 オクターブを 12 等分した 1 つが、半音 」で「 半音 2 つ分で、全音 」ということです。( 半音や全音は、音同士の距離というイメージ )

なので十二平均律では、隣り合う音は半音違い 」となっています。全ての音程は半音の集まり 」という考え方です。

ドとド♯は半音違い、ド♯とレも半音違い、ドとレは全音違いという関係です。

「 ミとファの間 」と「 シとドの間 」に黒鍵がないのは、そもそもこれら( ミとファ、シとド )が「 半音違いの関係 」だからです。

また「 ド♯ 」とは「 ドの半音高い音 」なので、「 」から見ると「 半音低い音 」となります。

よって「 ド♯= レ♭(フラット) 」という関係です。同様に「 レ♯= ミ♭ 」、「 ファ♯= ソ♭ 」、「 ソ♯= ラ♭ 」、「 ラ♯= シ♭ 」ということです。これを「 異名同音 」と言います。

ちなみに、先ほど「 オーケストラのチューニングは A(ラ) で行う 」と書きましたが、「 吹奏楽でのチューニングは B♭(シの半音下げ) 」で行います。A♯(ラの半音上げ)でもあります。

これは「 オーケストラで使われる楽器は弦楽器が多い 」ので「 A() 」で合わせる方が都合が良かったのですが、

吹奏楽管楽器(トランペット、クラリネット、トロンボーンなど )が主流(メイン)なので「 B♭( A♯) 」で合わせた方が都合が良いからです。

共鳴( 共振 )

物にはそれぞれ「 その物が最も振動しやすい振動数 」というものがあります。これを「 固有振動数 」と言います。

この固有振動数が同じもの同士、つまり同じ高さの音を出す( 同じ周波数 )もの同士が近くにある場合、片方を鳴らすともう片方も大きく振動して鳴り出します

大きく振動する( 大きな音が鳴る )ので「 振幅も大きくなっている 」と言えます。

この現象を「 共鳴( 共振 ) 」と言います。

例えば、振動数が等しい( 同じ高さの音を出す ) 2 つの音叉を近づけて、一方だけ鳴らすと、もう一方も大きく鳴ります。

テーブルの上に 200 Hz の固有振動数を持つもの( A )と 300 Hz の固有振動数を持つもの( B )を置いて、テーブルの足に 300 Hz の振動を与えると、( B )だけが振動します

また、この共振は公園のブランコをこぐときにも起きています。

止まった状態のブランコを、足で地面を蹴ったり、背中を押してもらったりせずに、自分の体の動きだけでブランコを揺らす場合、

ブランコの固有振動数同じ振動数を、自分の体の動きでブランコに与えているのです

そして、ブランコが揺れ始めたら、その揺れを大きくするためには、ブランコのペース( 固有振動数 )に合わせて自分の体を動かさなければなりません

揺れる方向に体の重心を動かしたり( ブランコが後ろに下がり始める時に後ろに体重をかけ、前に行き始める時に前に体重をかける )、

ブランコが高い位置に来た時に体を縮め背を丸め、低い位置に来た時に体を大きく伸ばす。この屈伸運動により重心が上下します。

以上のように、ブランコの動きと自分の体の動きを合わせることができなければ、ブランコはいずれ止まってしまいます。

背中を押して勢いをつけてもらう時も、ブランコのリズムと同じタイミングで押してもらう事で大きく揺れます。( ブランコの後ろへ下がる力が 0 (ゼロ)になった時に押すと大きく揺れる )

地震と共振

地震も「 振動( 揺れ ) 」なので「 」です。地震は「 大地の振動 」であり「 地震波 」と言われます。

この地震の揺れでも「 共振 」の現象が起きています。

例えば「 地震波の振動数 」と「 建物の固有振動数 」が一致してしまうと大きく揺れてしまいます

これが、同じ場所にあるビルなのに大きく揺れるビルとあまり揺れないビルがあるという理由です

グラスハープと共鳴

ワイングラスなど( ガラス )の縁を濡れた指で滑らせると音が出ますが( 指とグラスの摩擦で生じる振動 )、この音を楽器のように使用するものをグラスハープ 」と言います。

このグラスハープの音が「 最も大きく鳴ったときの音 」が「 そのグラスの固有振動数 」に近い音です。

また、この時のグラスに入っている水の量 」で「 音の高さが変わる 」ので、音程が生まれ曲を奏でることができます。( 水の量が少ないほど高い音になる )

そして、音が最も大きく鳴るときに「 グラスの中の水面が揺れます 」まさにグラスが振動している証と言えます。

ちなみに、声でグラスが割れるのも「 共鳴 」です。ただし音は空気中で減衰していくため、すぐ近くで声を出す必要があります。

ドップラー効果

有名な例としては「 救急車のサイレンの音が近づいてくる時には高く聞こえ遠ざかっていく時には低く聞こえる 」という現象です。( 救急車が自分とすれ違う瞬間に変化する )

つまり「 波( 音波や電磁波 )の発生源( 音源や光源など )と観測者との、速度の関係によって周波数( 音の高さや色 )が変わったと感じる現象 」を「 ドップラー効果 」と言います。

波の発生源 or 観測者が、静止せずに移動することで、観測される周波数が変化する現象 」という事です。( 発生源が近づくと高い周波数に感じ、遠ざかると低い周波数に感じる )

仕組みは、波の発生源が観測者に近づいてくる時というのは、前に進みながら波を発しているので、波が圧縮されます。そのため波長が短く( 周波数が高く )なります。

逆に遠ざかっていく時というのは、波は進行方向と逆に進む( 波を落としながら進んでいく )ので、波が広がっていきます。そのため波長が長く( 周波数が低く )なります。

利用例

電磁波でのドップラー効果を利用して「 速度を測る 」ことができます。

例えば、野球でピッチャーの球速を測るためのスピードガン 」や車の速度違反(スピード違反)の取り締まり装置オービス 」などです。

これらはボールや車などの対象物に電波を照射し元の電波の周波数当たって反射してきた周波数との差によって、対象物の速度を求めています。

また「 気象レーダー 」にも利用されています。

大気中の雲や雨などの小さな粒子に電波を当て反射してくる電波の波長や周波数を確認することで、風速や風向きを測定し、雲の動きや気流を観測できます。

そして「 天体観測 」にも利用されています。

目に見える光( 可視光線、紫 , 青 , 藍 , 緑 , 黄 , 橙 , 赤の 7 色 )は、紫に近づくほど波長が短く( 周波数が高く )なり赤に近づくほど波長が長く( 周波数が低く )なります

この辺りのことは「 光の性質 」の「 電磁波と光 」というところで解説しております。

この仕組みによって、星( 光源 )が地球に近づいてきていると、波長が短く( 周波数が高く )なり、星が青っぽく見えます。これを「 青方偏移(せいほうへんい) 」と言います。

逆に星が地球から遠ざかっていると、波長が長く( 周波数が低く )なり、星が赤っぽく見えます。これを「 赤方偏移(せきほうへんい) 」と言います。

周波数の違いは、音の場合だと音の高さが変わりますが、光の場合は「 色が変化 」するからです。

星を観測して青方偏移赤方偏移を確かめることで、その星と地球との位置関係の変化が分かります。( 星が動くスピードを測る )

そして現在、遠くにある星ほど赤方偏移が起こっていることが分かっています。( 遠くにある星ほど速いスピードで遠ざかっている )

よって「 宇宙は膨張している( 広がっている ) 」と言われています。

あとがき

」というものに関して、自分が気になることや面白いと思ったことを書きました。

」と同じように音も、普段全く意識しないぐらい身近なものなので、今回このように徹底して学べたのは良かったです。

音が聞こえるには「 音源 」と「 音を伝えるもの 」の 2 つが必要というのは、当たり前のことですが、この基本原則は大切だと感じました。

つまり、どちらかを「 遮断 or 減らす 」事ができれば、音は「 聞こえない or 小さくなる 」ということですよね。これが防音や遮音の基礎となる考え方なのでしょう。

ベートーベンが利用した「 骨伝導 」もこれで「 骨伝導イヤホンや骨伝導スピーカー( 置いた場所を振動させることでスピーカーにする ) 」という仕組みが理解できました。

「 ドレミ を C,D,E 」というのは前から疑問だったので、わかって嬉しかったです。

またピアノの鍵盤 12 音十二平均律、音を構成する半音と全音は、音楽理論の話なのですが、興味深い話でした。

そして「 」は「 」という共通点を持ちながらも、光が届かない暗闇でも届く 」、音が届かない宇宙でも届く 」という真逆の性質も持っています。

地球上という範囲の中では、よりもの方が利用範囲は広いかも知れません

地球上で光が届かない暗闇の場所というのは、海底も含め、様々な所にありますし、光は遮断もできます

しかし、音が一切届かない完全に無音の場所というのは、ほぼ無いと思います

そう考えると、は「 お互いを補い合う関係 」に感じます。( 光が届かない所では音を使い、音が届かない所では光を使う )

それによってコミュニケーションを取ったり、様々な情報を受け取ったりしています。( 人間や動物も、光や音を使って生活している )

また、固有振動数共鳴の話で、人が感動する( 心に響く、心が震える )というのは、自分の固有振動数と同じ振動数に接したときの「 共鳴現象 」なのかも知れないと感じました。

そして自分の固有振動数が、自分の「 個性、性格、考え方 」という形で、表れているのかも知れないとも思いました。

同じ振動数を持つもの同士でしか分からない「 感性や価値観 」というイメージです。

類は友を呼ぶ 」と言われるのも、同じ振動数を持つものは、お互いに響き合い、共鳴し、引きつけ合うものなのでしょうか。

また「 は人の心と体に影響を与える 」とも言われています。

「 振動数 = リズム 」とも考えられ、自分にとって良いリズムは、心や体にとっても心地良いものです。

心臓も一定のリズムを刻んでおり、そのリズムは様々な環境( 状況 )によって変化していきます。

人体の細胞の内部も、分子が固有の速度で振動していると言われています。

そして「 環境( 状況 )、心の状態、言動 」といったものが、体のリズムに影響を与えます。それはきっと周囲にも波( 振動 )として伝わっていくものなのでしょう。

良いリズムを刻んでいきたいものです。

最後までお読み頂きまして、誠にありがとうございました。