第 2 回のテーマは「 植物のタネと成長&花の目的 」です。
今回から本編に入ります。まずは「 生物 」の分野です。生物は「 植物の話 」から学んでいこうと思います。
今回は「 植物とは何か、発芽と成長の条件、花のしくみ 」といった事を学んでいきます。
植物とは?
植物とは一般的に「 草や木などのように、根があって場所が固定されて生きる生き物 」のことを指します。
ちなみに「 花は草の仲間 」で「 草花( くさばな )」と呼ばれたりします。
「 茎 」が柔らかいものを「 草 」, 硬いものを「 木 」と呼ぶことが多いです。
植物の生きる目的は「 子孫を残すこと 」です。なので、種子(タネ)を作る植物にとっては、種子を作る事こそが「 生きる目的 」と言えます。
種子(タネ)のしくみ
種子の中には「 幼芽 , 胚軸 , 幼根 , 子葉 」というものがあり、これらをまとめて「 胚 」と呼びます。
胚は「 植物になる部分 」と言えます。
種子が発芽( 芽が出る )した後、幼芽は「 本葉( 葉っぱ )」に、胚軸は「 茎や軸の部分 」に、幼根は「 根 」になっていきます。
「 子葉 」は、発芽のための養分を蓄えている部分であり、発芽した時に「 最初に地上に出る葉っぱ 」です。
子葉の枚数は植物の種類によって違い、1 枚のものを「 単子葉類 」 2 枚のものを「 双子葉類( 双葉 ふたば )」と言います。
発芽した後、本葉が育ち始めると、子葉の栄養は植物の成長に使われるため、子葉は枯れていきます。
ちなみに、この種子の中の養分は「 デンプンという炭水化物 」が多くを占めています。
発芽の条件
種子が発芽するには、必要なものが 3 つあります。
「 水 , 空気 , 適温 」です。これを「 発芽の 3 要素 」と言います。
「 水 」は多すぎると種子に空気が届かなくなるので、土に水をかける時は「 土が少し湿るくらい 」が良いとされています。
「 適温 」は植物の種類によって違いがあり、低いものだと 15℃ ぐらい、高いものだと 30℃ ぐらいと幅広いです。
ちなみに、植物の種類によっては、発芽に「 光 」を必要とする種子もあります。
このような種子を「 光発芽種子 」と言います。( レタス , イチゴ , イチジクなど )
これらの多くは、種子が小さく、蓄えている養分の量が少ないため、発芽後すぐに自分で養分を作り出さなければいけません。
なので、光合成( 植物が光を使って養分を生み出す事 )を行うために、光が必要になるのです。
逆に「 暗くないと発芽しにくい( 光で発芽が抑制される )種子 」を「 暗発芽種子 」と言います。( カボチャ , トマト , ピーマンなど )
これらは原産地が「 乾燥地 」であることが多く、乾燥地では光が当たるような所に種子があると、水分が奪われてしまい生きていけません。
よって、光が当たらない地中にある時に発芽すると言われています。
発芽を待ち続けた種子
発芽だけなら光はいらないのですが、自然界の多くの種子は発芽に光を必要としています。( 光が当たらない所では発芽しない )
これは「 光が当たらない所で発芽しても、生きてはいけない事を知っているのだろう 」と言われています。
自然界の土の中では、たくさんの様々な種子たちが、光が当たって発芽できるチャンスをじっと待っています。
例えば、1951年に千葉県の「 弥生時代の遺跡 」から蓮(ハス)の種子が発見されました。その後この種子は、発芽に成功し花を咲かせました。
つまりこの種子は 2000年間( 弥生時代はおよそ2000年ほど前 )、地下の遺跡で発芽のチャンスを待っていた事になります。
この蓮は、栽培した( 発芽と開花に成功した )「 大賀 一郎 」博士の名にちなんで「 大賀ハス 」と名付けられ、千葉県の天然記念物に指定されました。
また、日本全国のさまざまな場所でも移植され育てられています。
植物の成長
植物が成長するための条件は「 発芽の 3 要素 」+「 光 」です。
つまり「 水 , 空気 , 適温 , 光 」の 4 条件になります。
これは「 発芽によって種子が養分を使い切ってしまったので、光合成で自ら養分を作り出すために光が必要 」という事です。
植物は日当たりが悪いと、緑色にならず、茎も細く、葉も小さくなります。植物は「 葉 」でしっかりと日光を受けることで、十分な栄養が作られているのです。
そのため、なるべく多く効率的に光を浴びられるように、植物の葉はできるだけ重ならないように付いています。
「 木の葉っぱ 」が上の部分に集中しているのも、効率的に光を浴びるためだと言われています。
余談ですが、植物の種類によっては育てる上で、棒などの「 支柱 」が必要なものもあります。
例えば「 つる植物 」であるアサガオは、棒を立てていないと下に「 つる( 巻きつく茎 )」が垂れていってしまいますが、
棒を立てておくと、棒につるが巻きついていき、上に伸びて育っていきます。
肥料の役割
肥料が土に加えられると、植物は大きく早く育ちます。
「 窒素 , リン , カリウム 」は「 肥料の 3 要素 」と呼ばれ、特に影響が大きいです。
窒素は茎や葉の成長を助け、リンは花や実の成長を助け、カリウムは根を丈夫にしたり実を大きくする働きがあります。
大自然の肥沃な土なら、これらが豊富で肥料を加える必要はありませんが、
そうではない土壌( 植物を育てるだけの力がない痩せた土 )で、植物が大きく早く育つために、肥料は重要な役割を担っています。
特に「 鉢植え 」などに植えられた植物は、狭く、周囲に土もなく、根を広く伸ばすこともできないので、肥料が無いとかなり育ちが悪くなります。
ちなみに「 水耕栽培 」という、土を使わずに水に養分( 肥料 )を混ぜて、根から吸収させて育てる方法もあります。
水は土に比べて、養分や温度の管理がしやすく、キレイな水を使うことで病気などにかかる可能性も低くできます。
さらに温度や明るさを一定に保つことで、狭い室内で大量に栽培できるなどのメリットがあると言われています。
花のしくみと目的
「 花 」の条件は「 おしべとめしべがあること 」です。( 花びらが無くても花 )
多くの花には「 花びら 」があり、花びらの付け根にある緑色の小さい葉のようなものを「 がく 」といい、花全体を支える役割があります。
「 がく 」は「 つぼみの時に中を守っていた部分 」でもあります。果物に付いている「 がく 」は「 へた 」と呼ばれます。
「 おしべ , めしべ , 花びら , がく 」を「 花の 4 要素 」といい、これらが揃っている花を「 完全花 」といいます。
「 花はおしべとめしべ 」なので、花の目的は「 受粉 」つまり「 子孫を残すこと 」です。そのために花は咲いているのです。
余談ですが、昔は「 花が咲く 」ことを「 花が笑う 」と表現していました。元々「 咲と笑 」は同じ意味の漢字です。
なので「 咲う , 咲み 」は「 わらう , えみ 」と読みます。花が咲く=笑顔になること。
「 花を咲かせる 」とは「 誰かを笑顔にさせる事 」であり、花が咲くのは「 あなたに笑っていてほしいから 」と昔の人は考えていたようです。
おしべとめしべ
花の中で「 葯( やく )」という「 花粉を作る袋 」を持った部分を「 おしべ 」といいます。
花の中心にあり「 花粉を受け取る部分 」を「 めしべ 」といいます。( 太く、1 本であることが多い )
めしべは先端の「 柱頭 」という部分で、花粉を受け取り「 受粉 」します。( 柱頭は花粉が付きやすいように、ネバネバしていることが多い )
めしべの根元のふくらんだ部分を「 子房 」といい、受粉の後、この子房がふくらんで「 実( 果実 )」となり花が枯れていきます。
また、子房の中には「 胚珠 」というものがあり、これが成長すると「 種子( タネ )」になります。
多くの花では、おしべとめしべが同じ 1 つの花の中にありますが、別々の花におしべとめしべがある花もあります。( ヘチマ , カボチャ , キュウリなど )
例えば、ヘチマの花は「 雄花( おしべだけの花 )」と「 雌花( めしべだけの花 )」に分かれ、それぞれの花に「 花びら , がく 」があります。
また、ヘチマ( 雌花 )は「 がくの下に子房がある 」ので、「 ヘチマの実には、へた( がく )が付かない 」です。
受粉の方法
多くの花は「 他者の力を借りて、受粉を行っています 」。
「 虫の力 」を借りて受粉を行う花( 虫が花粉を運ぶ花 )を「 虫媒花 」といいます。虫が花粉とめしべを媒介( 橋渡し )しているので、こう呼ばれます。
虫媒花は「 甘い蜜を作り、その匂いや花の色 , 形など 」で虫にアピールして引き寄せています。
蜜や花粉を食べにきた虫の体に花粉を付着させ、めしべまで運んでもらっています。( 花粉は大きく、ネバネバしていることが多い )
「 風の力 」を借りて受粉を行う花を「 風媒花 」といいます。
風媒花は「 風に飛ばされやすい事だけ 」を考え、花粉は「 細かくサラサラで、軽く、量が多い 」です。
そして、ある時期に一斉に大量に花粉を飛ばします。花粉症の人を悩ませている「 スギ , マツ , ヒノキ 」は風媒花の植物です。
風媒花は「 花びら , がく , 蜜 」を持たないものが多いです。
他にも「 イネ , ムギ , トウモロコシ 」といった穀物( デンプンが豊富な「 種子を食用 」とするもの )も風媒花です。
多くの植物は 虫媒花 or 風媒花 ですが、他にも「 鳥媒花と水媒花 」というものもあります。
「 鳥の力 」を借りて受粉を行う花を「 鳥媒花 」といいます。
鳥媒花は「 花が大きく色鮮やか( 8 割は赤い花 )で、匂いはほとんど無く、蜜の糖度は低いが大量に作っている 」という特徴があります。
これは「 鳥は視覚が非常に発達しているが、嗅覚は鈍感だから 」と言われています。
「 木に咲く花 」が多く、虫の少ない「 冬 」に咲く花が多いです。( ツバキなど )
「 花期( 花の咲いている時期 )が長い 」のも鳥に合わせていると言われています。
鳥媒花は圧倒的に数が少なく、冬は媒介してくれる虫や鳥の数も少ないです。鳥としても冬は虫がいないため、食べ物がないので蜜を吸いにきます。
このように鳥媒花は、花 , 鳥ともにライバルが少ないので、安定して共存共栄が行われています。
「 水の力 」を借りて受粉を行う花を「 水媒花 」といいます。
水媒花は「 水面や水中で咲く花( 水生植物 ) 」で、水の流れによって花粉が運ばれ受粉する花です。
最後に例外として「 人工授粉( 人工受粉 ) 」があります。
人工授粉は「 人の手を加えて受粉させる方法 」です。農業などで「 実を確実に作らせ、収穫を多く得るため 」に行われています。
例えば、温室栽培やビニールハウスで、ハチを放したり、手作業で受粉させたりなどがあります。
あとがき
「 植物の目的は子孫を残すこと 」これはシンプルですが、重要なキーワードだと感じました。
これが「 植物の行動理念( 行動を起こす理由となる考え方 )」なのでしょう。
もちろん、全ての植物が子孫を残せるわけではありません。実際に受粉が成功し、子孫を残す事ができるのは「少数」なのだと思います。
それでも「 個 」として子孫を残せなくても「 種( 群れ 集団 )」としての子孫を残し、命を繋いでいければ「 目的達成 」なのでしょう。
これは「 野生動物の世界 」も同じだと思います。「 個 」が犠牲になっても「 種 」の存続を優先し「 種としての子孫 」を残し、全力で守る。
種子の養分が「 炭水化物 」というのも面白いと感じました。種子は「 植物の子ども 」なので、この養分は親である植物が作って、枯れる前に残してくれたものです。
「 命 」が込められたものが「 種子 」ということです。
ちなみに稲や米の語源には「 命の根っこ 」=イネ , 命が「込め」られた=コメ という説があります。
こうして植物は命を繋いでいます。この種子の養分は「 穀物 」として人間を生かしてくれています。
なので太古の人類は、自然に対して感謝を捧げてきました。これが宗教の起源とも言われています。
日本でも「 自然に対する感謝 」を形にした場所が「 神社 」であり、その感謝の行為が「 祭祀( お祭り )」とされています。
「 神社は感謝を奉納( 捧げる )する場所 」と言われるのも、こういった理由からです。
花が受粉のために、様々な戦略をとっているのも興味深かったです。
植物は他の生き物と助け合って目的を達成していた。生き物はみんなそれぞれ助け合うことで生きていくことが出来るのですね。
最後までお読み頂きまして、誠にありがとうございました。